スシロー・はま寿司増益、くら寿司は苦戦!回転ずし3強の明暗を分けたもの

同じ回転ずしでも、利益の動向に違いが出ています。スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIESは海外の成長が収益を押し上げ、はま寿司も国内外で事業を拡大。一方、くら寿司は売上を伸ばしながら営業利益が大幅に減りました。コメや魚の仕入れ価格、人件費が上がるなか、安さだけで客を呼ぶ経営は難しくなっています。
スシローとはま寿司が伸び、くら寿司は減益
回転ずし大手の決算で目立つのは、売上規模以上に「利益を残す力」の違いです。2026年10月31日時点の最新決算をみると、スシローを展開するF&LCと、ゼンショーホールディングスの「グローバルはま寿司」事業が増収増益となる一方、くら寿司は増収減益でした。
スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)の2026年9月期第3四半期累計は、売上収益3904億円、営業利益420億円。前年同期比でそれぞれ24.7%増、43.9%増です。営業利益率は約10.8%に達しました。
はま寿司は、親会社ゼンショーホールディングス全体の数字と区別する必要があります。2027年3月期第1四半期の「グローバルはま寿司」事業は、売上高935億円、営業利益88億円で、それぞれ32.2%増、70.4%増でした。既存店売上高も前年同期を9.8%上回っています。
対して、くら寿司の2026年10月期第3四半期累計は、売上高1896億円と4.4%増えたものの、営業利益は28億4500万円と45.2%減少。営業利益率は約1.5%です。売上の拡大が、そのまま利益の成長にはつながっていません。
ただし、F&LCは2025年10月~2026年6月、はま寿司は2026年4月~6月、くら寿司は2025年11月~2026年7月の数字です。会社全体と事業別という集計範囲に加え、会計基準も異なるため、利益額や利益率だけで単純に優劣を決めることはできません。各社の前年同期からの変化を軸に見ることが大切です。
海外のスシロー、価格競争力のはま寿司
スシローの成長を支えているのは、国内の収益拡大と、それを上回る海外の伸びです。
国内スシロー事業の売上収益は2169億円で10.7%増、セグメント利益は171億6800万円で12.4%増でした。海外は売上収益1506億円で61.8%増、セグメント利益203億6800万円で83.2%増。海外の利益が国内を上回っています。
中国大陸では2026年4月に100店舗を達成し、新たな都市への進出も進めました。国内では中とろを通常の約2倍の大きさで提供する企画など、価格と商品価値を組み合わせています。単純に高く売るのではなく、手頃な目玉商品と、食べたいと思わせる商品をそろえる戦略です。
はま寿司は、税込110円の商品を軸にした分かりやすい手頃さが強みです。ただし、一部店舗では価格が異なり、すべての商品が110円という意味ではありません。麺類やデザートなどもそろえ、家族それぞれが好みに合わせて選べるメニューを用意しています。
その価格競争力を支える基盤が、ゼンショー独自の「MMD(マス・マーチャンダイジング・システム)」です。原材料の調達から製造・加工、物流、店舗での販売までを一貫して企画・運営する仕組みで、食材の安定確保や効率化を追求しています。
出店も積極的です。グローバルはま寿司の店舗数は6月末で国内677店、海外237店の計914店。3カ月で52店増えました。低価格の印象だけでなく、既存店の売上増と出店拡大が同時に進んでいる点に注目できます。
くら寿司は集客を利益に変えられるか
くら寿司には、皿の回収とゲームを組み合わせた「ビッくらポン!」や、抗菌寿司カバー「鮮度くん」など独自の仕組みがあります。人気コンテンツとのコラボも、食事以外の楽しさを生む集客策です。
しかし、最新決算では国内の売上高が1309億円と1.2%減少し、経常利益は33億9400万円と40.8%減りました。コメ価格はピークアウト感があるものの高水準が続き、商品設計による原価率の管理を進めています。集客の工夫があっても、客数や注文内容と費用のバランスが崩れれば利益は残りません。
海外も一様ではありません。北米は売上高が22.2%増えましたが、経常損失は6億4500万円で、前年同期から赤字が拡大しました。一方、アジアは増収増益です。「海外に出れば成長できる」ではなく、地域ごとの採算が問われています。
国内では9月4日、最低価格115円の店舗で110円へ引き下げるなど、価格体系を見直しました。一部商品は値上げしており、全面的な値下げではありません。手頃な入口を用意しながら、商品全体で利益を確保する狙いと読み取れます。
なお、第3四半期決算の対象は7月までです。9月の価格改定が客数や利益にどう影響したかは、この数字では判断できません。今後の決算で効果を確かめる必要があります。
安さ・満足度・店舗効率をどう高めるか
インフレ時代の競争では、値下げか値上げかという二択では足りません。客が予算に合わせて選べる価格帯と、その価格に納得できる商品が必要です。入口の商品を安くしても、会計時に割高だと感じれば、次の来店にはつながりにくくなります。
仕入れの強さも、単に大量購入できるかでは測れません。相場が上がる食材をどう組み替え、品質を保って供給できるかが問われます。養殖や加工、物流への投資も、安定供給と費用削減に結び付いて初めて競争力になります。規模の拡大を、店の利益へつなぐ仕組みが必要です。
店舗運営も重要です。注文や会計をデジタル化しても、厨房の作業が増えれば人件費の抑制には限界があります。メニューを増やすときは、売上への貢献だけでなく、調理時間や食材管理の負担まで見なければなりません。
同じことはキャンペーンにも当てはまります。客を呼べても、値引きや景品、追加人員の費用が膨らめば、増収減益になり得ます。来店のきっかけを、通常時の再来店へつなげられるかが勝負です。食材の欠品や提供の遅れを抑え、混雑時にも満足度を保つ現場の力が欠かせません。
現時点では、海外を利益の柱に育てたスシローと、手頃さを保ちながら拡大するはま寿司が優勢です。ただし、出店が速すぎれば採用や教育、品質管理が追いつかないリスクもあります。くら寿司も、独自の楽しさを生かしつつ国内の集客と原価管理を改善できれば、巻き返す余地があります。
「最強」を決めるのは、最低価格や行列の長さだけではありません。客数と客単価を保ち、食材の廃棄や店の負担を抑え、海外でも利益を残せるか。次の決算で見たいのは、店舗数の増加よりも、選ばれ続けながら稼ぐ仕組みの持続力です。
文= KIJIKUL編集部
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