公募割れから株価2倍!ティアフォー急騰、「自動運転の民主化」は実現するか
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自動運転のティアフォーが2026年7月22日に東証グロース市場に上場しました。公開価格1085円に対し初値は1009円と公募割れ。その後8月7日に871円まで下落したものの、8月28日にはストップ高の1999円まで急騰。安値からわずか3週間で約2.3倍になりました。2026年9月期も巨額の赤字を見込む会社が、なぜ突然買われたのでしょうか。
1085円→871円→1999円!なぜ株価は急騰した?
ティアフォーは2026年7月22日、東証グロース市場に上場しました。自動運転という注目テーマを背負った大型IPOでしたが、スタートは厳しいものでした。
公開価格1085円に対し、初値は1009円。約7%の公募割れです。その後いったん1285円まで上昇したものの売りに押され、8月7日には一時871円まで下落しました。公開価格から約20%安です。
上場直後の新興株は、もともと値動きが荒くなりやすいものです。ティアフォーの場合、2026年9月期も大幅な赤字予想で、将来の自動運転市場への期待をどこまで株価に織り込むか判断しにくいことも、値動きを大きくしたと考えられます。
ところが、8月中旬から状況が一変しました。8月14日に発表した第3四半期決算では、売上高が51億7800万円、売上総利益が20億300万円となり、会社資料によればともに前年同期比30%以上増加。一方、研究開発費は1.8%減でした。通期売上高予想84億8400万円も据え置きました。
まだ大幅な赤字ですが、売上高と売上総利益が伸びる一方、研究開発費は前年同期を下回り、将来の収益改善を期待させる内容となりました。
さらに8月20日には、ルネサスエレクトロニクスとの協業を発表。自動運転レベル4などを見据えた次世代車両向けコンピューティング基盤を共同で構築する方針が材料視され、株価は急伸しました。実際、8月20日は終値1033円まで上昇しています。
8月24日にはモルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断「Overweight(強気)」、目標株価1350円で新規に調査を開始したことも材料となりました。
そして8月28日には、トヨタ自動車が2028年に「レベル2++」の自動運転システムを搭載した乗用車を投入するとの報道をきっかけに、自動運転関連株へ買いが集中。ティアフォーはストップ高の1999円となりました。8月7日の安値871円から約2.3倍です。
つまり、急騰は一つの材料だけではなく、業績改善への期待、具体的な企業提携、自動運転市場全体への期待、直近IPO特有の需給が重なった結果と見るべきでしょう。

ティアフォーは「車を作らない」自動運転企業
では、ティアフォーとはどのような会社なのでしょうか。
同社が掲げるビジョンは「自動運転の民主化」です。中核となるのが、創業者の加藤真平CEOが開発を主導した自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」です。特徴はオープンソースであることです。ソースコードを囲い込むのではなく、企業、大学、研究機関、エンジニアなどが開発に参加できる仕組みにしています。ただし、Autowareそのものは無償で公開されています。
では、どこで稼ぐのでしょうか。ティアフォーはAutowareを基盤に、商用化に必要な安全性や品質、車両への適合などを組み込み、自動車メーカーや自治体、交通事業者などが実際に自動運転を導入するためのプラットフォームを提供します。
事業は大きく3つあります。自治体や交通事業者へ自動運転車両などを提供する「Mobility Service」、自動車メーカーなどの開発・量産を支援する「Development Service」、ソフトウェアやハードウェア、開発ツールなどを提供する「Solution Service」です。
つまり、ティアフォーは、Google傘下のWaymoのように自社だけでロボタクシーを大量運行する会社とは少し違います。さまざまな企業が自ら自動運転車を開発し、量産し、運用できる共通基盤を提供する会社を目指しているのです。会社も決算説明会で「自動運転車そのものを大量生産する会社ではない」と説明しています。
「自動運転の民主化」は本当に実現できるのか
ティアフォーの成長シナリオで重要なのは、自動運転が「実験」から「量産・運用」へ移れるかどうかです。これまでは実証実験や共同開発を受託すれば売上が立っても、その案件が終われば収入も止まりやすい構造でした。
しかし、自動運転車が量産されれば、車両や自動運転キット、ソフトウェアライセンスなどから収益が発生します。さらに運用台数が増えると、保守やソフトウェア、Webサービスなどの継続収益も積み上がります。そのため会社が重視しているのが「車両運用台数」です。
2025年9月期末は累計114台でしたが、2030年9月期には1800台超を目指しています。しかも、会社によれば、この1800台は単純な市場予測ではなく、受注済みや条件付き受注、開発中の案件における量産目標を積み上げた数字です。
追い風もあります。日本政府は2030年度までに自動運転サービス車両1万台の実装を目標に掲げています。運転手不足が深刻なバスや地域交通では、自動運転は単なる新技術ではなく、交通網を維持するための手段になり始めています。
ただ、「オープンソースだから普及する」と単純には考えられません。自動運転では事故につながるリスクがあるため、安全性、法規制、車両メーカーとの連携、量産品質までクリアする必要があります。技術が普及しても、ティアフォーがその中心に居続け、十分な収益を獲得できるかは別問題です。
Autowareが広がることと、ティアフォーの利益が拡大することは同じではありません。ここが「自動運転の民主化」を投資対象として見る際の最大のポイントでしょう。
営業赤字112億円でも上場、「赤字上場」は失敗なのか?
そしてティアフォーを見るうえで避けられないのが、巨額の赤字です。2026年9月期は売上高84億8400万円に対し、営業損失112億3900万円、純損失67億3600万円を見込んでいます。売上高より営業赤字のほうが大きいという、通常の成熟企業なら極めて厳しい数字です。
しかし、自動運転は完成までに巨額の研究開発投資が必要です。現在の赤字だけを見て「失敗」と判断するのも早計でしょう。ポイントは、赤字の先に利益が生まれる構造ができるかです。会社は、第3四半期累計で売上高が30.0%、売上総利益が31.6%増える一方、研究開発費を1.8%減らしました。
そして、累計車両運用台数がおよそ800台に達することを、経常黒字化の一つの目安としています。現在の114台から800台へ増やせるのか。さらに2030年には1800台超まで到達できるのか。ここが企業価値を大きく左右します。
上場による新株発行で得る資金も、研究開発、量産・事業拡張、組織拡張などに投じる計画です。つまり、上場は「完成した企業が利益を投資家に還元するため」というより、自動運転の社会実装に必要な資金を市場から調達するためという意味合いが強いIPOです。
赤字上場そのものが成功か失敗かを決めるわけではありません。問われるのは、調達した資金を使って114台を800台、そして1800台へ増やし、研究開発型企業から継続的に利益を生む企業へ変われるかです。
上場後わずか1カ月で871円から1999円まで動いた株価は、ティアフォーへの期待の大きさと、まだ評価が定まっていないことの両方を映しているといえるでしょう。
文=KIJIKUL編集部
※本記事は情報提供を目的として作成したものであり、特定の企業、商品、サービス、金融商品、投資その他の取引を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容は記事公開時点の公開情報等に基づいており、意見・見解・予測などは執筆者または編集部の判断によるもので、予告なく変更される場合があります。内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、最終的な判断はご自身の責任において行ってください。【KIJIKUL編集部】
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