異例の8月に流行開始と発表!なぜ「インフルエンザ」が真夏に広がるのか?

「インフルエンザは冬の病気」と思っていませんか。東京都は2026年8月27日、都内でインフルエンザの流行が始まったと発表しました。昨年より1カ月以上早く、学校や社会福祉施設では集団感染も発生しています。なぜ真夏にインフルエンザが広がっているのでしょうか。夏休みが終わり、新学期が始まるこれからは、さらに注意が必要です。
東京都が「インフルエンザ流行開始」を発表
真夏の東京で、インフルエンザが流行し始めています。
東京都は2026年8月27日、都内のインフルエンザ患者報告数が「流行開始」の目安を超えたと発表しました。
8月17~23日の1週間に、都内の定点医療機関から報告された患者数は、1医療機関当たり1.49人。「流行開始」の目安となる1.0人を上回りました。昨年は9月22~28日の週に流行開始の目安を超えており、今年は1カ月以上早いスタートです。
さらに同じ1週間に、学校や社会福祉施設などでインフルエンザとみられる集団感染が7件報告されました。
東京都が特に警戒しているのが、夏休み明けです。学校が始まれば、児童・生徒が教室などで長時間一緒に過ごすようになり、人との接触機会が一気に増えます。学校で感染した子どもが家庭に持ち帰れば、家族へ感染が広がる可能性もあります。
9月以降は「まだ暑いからインフルエンザではない」と思い込まないことが重要になりそうです。
なぜ「冬の病気」が真夏に流行するのか
そもそも、なぜ8月にインフルエンザが流行するのでしょうか。
インフルエンザは日本では例年12月~3月ごろに流行し、1月末~3月上旬にピークを迎えることが多い感染症です。しかし、ウイルスそのものが夏になると消えるわけではありません。
一つのポイントが、人の国際的な移動です。日本が夏の時期、季節が反対のオーストラリアやニュージーランドなど南半球は冬です。南半球ではインフルエンザの流行期となるため、国際的な人の往来によって、季節を問わずウイルスが国内に入ってくる可能性があります。ただし、今回の東京都での流行について、南半球からのウイルス流入が原因と特定されているわけではありません。
もう一つ見逃せないのが、猛暑による室内環境です。夏はエアコンを使うため、家庭やオフィス、商業施設などで窓を閉め切る時間が長くなります。人が集まる場所で換気が不十分になれば、呼吸器感染症が広がりやすい環境になる可能性があります。
厚生労働省も夏の急性呼吸器感染症対策として、換気や手洗い、必要な場面でのマスク着用などを呼びかけています。つまり、「インフルエンザ=冬」という季節だけで判断するのではなく、人の移動や接触、室内環境など感染が広がる条件を見る必要があるのです。
38度以上の高熱、倦怠感……夏風邪との違いは?
インフルエンザでは、38度以上の発熱が比較的急に現れ、頭痛、強い倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状を伴うことがあります。咳や鼻水、のどの痛みなどが出ることもあります。ただし、症状だけでインフルエンザ、夏風邪、新型コロナウイルス感染症などを正確に見分けることは困難です。
「夏だからただの風邪だろう」と自己判断しないことが大切です。高熱が続く、呼吸が苦しい、水分が取れない、ぐったりしているなど症状が強い場合や、高齢者、基礎疾患のある人、乳幼児などは、医療機関への相談を検討する必要があります。
インフルエンザと診断された場合、抗インフルエンザウイルス薬は発症から48時間以内に服用を始めると、発熱期間を通常1~2日短縮し、ウイルスの排出量を減らす効果が期待できます。ただし、すべての患者に投薬が必要とは限らないため、医師の判断に従うことが重要です。
予防の基本は特別なものではありません。こまめな手洗い、換気、十分な休養と栄養、咳がある場合の咳エチケットなどです。人が密集する場所や医療機関、高齢者と会う場合など、感染リスクの高い場面ではマスクも選択肢になります。
一方、猛暑の屋外では熱中症にも注意が必要です。厚生労働省は、夏場の屋外でマスクが必要ない場面では、熱中症予防の観点からマスクを外すことを推奨しています。
ワクチンはどうする?「今すぐ」とは限らない
今回の夏の流行を受けて、「インフルエンザワクチンをすぐに接種したほうがいいのか」と考える人もいるでしょう。
インフルエンザワクチンには、発症を抑えたり、重症化を予防したりする効果が期待されています。ただし、日本では例年12月~3月ごろに流行するため、通常は秋以降にワクチン接種が行われます。厚生労働省では、例年の流行時期を踏まえ、12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています。高齢者など定期接種の対象者についても、毎年度秋冬に1回接種する仕組みです。
そのため、「8月に流行が始まったから、全員が今すぐワクチンを打つべき」と単純に考える必要はありません。接種開始時期や対象、子どもの接種回数などについては、医療機関や自治体から出される今シーズンの案内を確認するのがよいでしょう。
これから夏休みが終わり、学校や職場で人が集まる機会が増えていきます。「インフルエンザは冬だけ」という常識は、いったん横に置いたほうがよさそうです。東京都が8月に流行開始を発表した今年は、秋を待たず、手洗いや換気、咳エチケットなど基本的な感染対策を意識する必要があります。
季節ではなく、流行状況を見て感染症に備える。それがこれからのインフルエンザ対策になりそうです。
※本記事は一般的な医療・健康情報の提供を目的としたもので、個別の診断や治療を行うものではありません。症状やワクチン接種については、医師や医療機関にご相談ください。
文=KIJIKUL編集部
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