トリドールHDが一転減益!「うどん戦争」激化で丸亀製麺の成長神話は崩壊か

トリドールホールディングスの業績に異変が起きています。2026年3月期に過去最高の売上収益と事業利益を記録した「丸亀製麺」が、2027年3月期第1四半期は16%の減益に転じました。人件費などの増加に加え、6月には既存店客数が前年同月比9.9%減少。「資さんうどん」の全国進出や「はなまるうどん」の巻き返しなど競争も激しくなっています。丸亀製麺の「成長神話」は崩れ始めたのでしょうか。

過去最高益から一転、丸亀製麺が16%減益

丸亀製麺を展開するトリドールホールディングスは、2026年3月期まで順調に成長していました。2026年3月期の連結売上収益は前期比3.9%増の2,787億円、事業利益は17.9%増の214億円となり、ともに過去最高を更新しました。営業利益も21.9%増の105億円でした。

なかでも稼ぎ頭だったのが丸亀製麺です。売上収益は7.1%増の1,371億円、事業利益は5.1%増の219億円。原材料費などの増加を増収で吸収し、こちらも過去最高となりました。

ところが、わずか3カ月後に状況が変わります。2027年3月期第1四半期のトリドールHD全体の売上収益は前年同期比3.5%増の723億円と、第1四半期として過去最高でした。一方、事業利益は9.3%減の57億円、営業利益は34.3%減の52億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は31.0%減の30億円となりました。

ただし、営業利益が34%も減った背景には、海外子会社の事業再建に伴う一過性費用などもあります。トリドールHD全体の減益を、そのまま丸亀製麺の苦戦とみるのは適切ではありません。

それでも丸亀製麺事業の数字にも変化が表れています。第1四半期の売上収益は前年同期比3.2%増の365億円でしたが、事業利益は16.0%減の56億円。前年同期から約11億円減りました。一方、海外事業の事業利益は62.6%増えており、グループの中でも丸亀製麺の減益が目立ちます。

売上は増えたのになぜ減益?人件費上昇が新たな壁に

なぜ、売上が増えているのに利益は減ったのでしょうか。

大きな要因は人件費などの増加です。丸亀製麺は各店舗で粉からうどんを打ち、「打ちたて・できたて」を提供することを強みにしています。機械化して少人数で運営するだけでは生み出しにくい体験価値であり、人材そのものが競争力になっています。

2026年3月期までは原材料費などの増加を増収で吸収できました。しかし今期第1四半期は、人材充足に伴う人員増などで人件費率が上昇し、増収だけでは吸収できなくなりました。

さらにトリドールは、人材への投資を一段と強めています。2025年9月には、丸亀製麺の店長の報酬体系を見直し、成果に応じて将来的に年収最大2,000万円を目指せる新たな人事制度を発表しました。3年後には、年収最大2,000万円となる店長を10人育てる方針です。優秀な店長を評価し、店舗運営の質や従業員の意欲を高める狙いがあります。

外食産業で人手不足が深刻になるなか、待遇改善は人材を確保するための重要な投資です。一方、現在の丸亀製麺ではすでに人件費増が利益を押し下げています。高い報酬で優秀な人材を確保しながら、店舗全体の生産性をどこまで高められるかが、今後さらに重要になるでしょう。

もう一つ気になるのが客数です。2026年6月の丸亀製麺の既存店客数は前年同月比9.9%減少しました。客単価は3.3%上がりましたが、既存店売上高は7.0%減少。7月も客数は4.9%減、売上高は2.5%減でした。

丸亀製麺は2026年1月に一部商品を値上げし、「釜揚げうどん(並)」は370円から390円になりました。一方、無料や半額キャンペーンも展開し、集客とのバランスを取っています。原材料費や人件費が上がれば値上げしたい。しかし価格を上げすぎれば、「手頃なうどん」という魅力が薄れ、客数を減らす可能性があります。丸亀製麺は今、「コスト上昇」「値上げ」「客数」という難しい三角関係に直面しています。

資さん、はなまる、新規参入で「うどん戦争」が激化

そこへ競争激化が重なります。

象徴的なのが「資さんうどん」です。すかいらーくホールディングスが2024年に買収した当時は74店舗でしたが、2026年3月には100店舗に到達しました。既存のガストなどから業態転換することで出店を加速し、2026年に約30店舗、2027年以降は年間50~60店舗の出店も視野に入れています。資さんうどんは、うどんだけでなく、丼物、おでん、ぼた餅まで扱います。「和食ファミリーレストラン」に近く、家族需要にも対応できるのが特徴です。

「はなまるうどん」も巻き返しています。2026年2月期は増収増益となり、2026年3~5月も増収増益を維持。肉を前面に出した新コンセプト店「はなまるうどん肉店」も展開し、2026年5月には東京・赤坂に2店舗目をオープンしました。

さらに「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーションも「肉讃岐 もっちりうどん源次郎」に参入しました。

もはや競争は、丸亀製麺とはなまるうどんというセルフ式讃岐うどん同士だけではありません。「打ちたて」を売る丸亀製麺、豊富なメニューで家族を取り込む資さんうどん、肉を軸に新しい需要を開拓するはなまるうどん。それぞれが異なる特徴を打ち出しながら、物価高で存在感を増す「手頃な外食需要」を奪い合っています。

丸亀製麺の「成長神話」は崩壊したのか

では、今回の16%減益で丸亀製麺の成長神話が崩れたのでしょうか。

そう判断するのはまだ早いでしょう。第1四半期の丸亀製麺は減収ではなく、売上収益は3.2%増えています。トリドールHDも通期予想を据え置き、2027年3月期の丸亀製麺について売上収益1460億円、事業利益230億円と、前期を上回る計画です。国内店舗も2026年3月末の887店から2027年3月末には922店へ増やす計画です。

ただ、これまでと同じ成長が続く保証はありません。問われているのは、売上を増やすだけでなく、利益を伴う成長を続けられるかです。人材へ投資すればコストは増え、値上げすれば客離れのリスクがあります。そこへ資さんうどんなど競合の出店攻勢も加わります。

今回の減益は「成長神話の崩壊」というより、丸亀製麺が「店舗と売上を伸ばす成長期」から「競争の中で収益力を磨く段階」へ移ったサインと見るべきでしょう。

「打ちたて・できたて」という体験価値を維持しながら、人件費を吸収し、客数も増やせるのか。次の成長を左右するのは、店舗数よりも「1店1店でどれだけ稼げるか」になりそうです。

文=KIJIKUL編集部
※本記事は情報提供を目的として作成したものであり、特定の企業、商品、サービス、金融商品、投資その他の取引を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容は記事公開時点の公開情報等に基づいており、意見・見解・予測などは執筆者または編集部の判断によるもので、予告なく変更される場合があります。内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、最終的な判断はご自身の責任において行ってください。【KIJIKUL編集部】

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