早期離職を考えた若手社員は6割超!実態調査で判明した退職理由と定着策

「最近の若手社員はすぐ辞める」と言われます。しかし、その背景を詳しく見ると、単純に忍耐力が低下したわけではありません。リクルートマネジメントソリューションズが実施した「若手の離職実態調査2026」では、社会人1~3年目の62.2%が「会社を辞めたいと思ったことがある」と回答しました。また、「仕事にやりがいを感じられない」「自分の能力を発揮できない」といった、仕事そのものに対する不満が強まっていることも明らかになっています。
離職理由は「給与」より「仕事への納得感」
人手不足が深刻化する中、多くの企業が若手社員の採用に力を入れています。しかし、採用できても定着しなければ意味がありません。
リクルートマネジメントソリューションズが実施した「若手の離職実態調査2026」によると、社会人1~3年目の在職者の62.2%が「会社を辞めたいと思ったことがある」と回答しました。この割合は2023年調査の58.8%とほぼ変わらず、若手の離職意向は依然として高い水準にあります。
辞めたいと思った理由のトップは「仕事にやりがい・意義を感じない」(21.8%)でした。次いで「給与水準に満足できない」(19.5%)、「自分のやりたい仕事ができない」(14.1%)、「労働条件がよくない」(13.0%)が続いています。
一方、実際に退職した人の理由を見ると、傾向は少し異なります。最も多かったのは「労働環境・条件がよくない」(22.4%)でしたが、それに続いたのが「仕事で自分の能力や持ち味を発揮できない」(21.6%)でした。実際に退職した理由では、「給与水準に満足できない」が前回調査の2位から6位へ順位を下げています。
この結果は非常に興味深いものです。若手社員は給与への不満を口にすることはあっても、実際に退職を決断する段階では、調査結果からは、「この会社では成長できない」「自分の能力を十分に生かせない」と感じることが、退職を決断する一因になっていると考えられます。
つまり、給与を引き上げるだけでは離職防止には限界があります。仕事そのものに価値を感じられるか、自分の能力を発揮できるかという点が、以前にも増して重要になっています。
若手社員が求めているのは「成長できる会社」
最近は「心理的安全性」が注目され、「怒らない職場」「優しい上司」が理想のように語られることがあります。しかし、今回の調査を見ると、若手社員が本当に求めているものは、それだけではありません。
離職を思いとどまる要因として、仕事を通じた成長や、会社・仕事への共感が重要性を増しています。離職を思いとどまった理由を見ると、「会社のビジョン・価値観への共感」「仕事にやりがい・意義を感じる」「成長できる環境がある」と回答した割合が前回調査から大きく増加しています。
一方、「転職はリスクがある」「転職先が見つからない」といった消極的な理由は減少しました。これは、若手社員の価値観が大きく変化していることを示しています。以前は「今の会社を辞めても転職先がないから残る」という受け身の定着が多く見られました。しかし、現在は、「この会社で働き続けたい理由があるから残る」という、より主体的な定着を重視する傾向が強まっていると考えられます。
また、調査では上司との関係についても興味深い結果が出ています。重要なのは「上司と気が合うこと」ではなく、「仕事の進め方が合っていること」です。上司との相性を分析すると、「仕事の進め方が合っている」と感じている人ほど、離職意向が低い傾向が確認されました。
つまり、若手社員が重視しているのは、単に上司が優しいかどうかではなく、仕事の進め方や指導の仕方に納得できるかどうかだと考えられます。目標が明確であり、納得感のある説明を受け、自分の裁量も認められながら挑戦できる環境を求めているのです。
さらに、職場との関係性も重要です。「率直に意見を言い合える」「職場の仲間から学べる」「目標を一緒に達成したいと思える」――こうした良好な人間関係や心理的安全性、学び合える環境が整った職場ほど、若手社員は定着しやすいことも分かりました。若手社員が求めているのは「何も言われない職場」ではありません。挑戦して失敗しても受け入れられ、周囲から学びながら成長できる職場なのです。
中小企業でもできる若手社員の定着策とは
「成長できる会社」と聞くと、大企業だからこそ実現できることだと思われがちです。しかし、今回の調査結果を見る限り、中小企業にも十分取り組めることがあります。
第一は、「仕事の意味」を伝えることです。若手社員は単なる作業ではなく、「自分の仕事が会社や社会にどう役立っているのか」を知りたいと考えています。経営者や上司が仕事の目的を丁寧に説明することで、本人が仕事の意義を感じやすくなります。
第二は、小さな成功体験を積ませることです。成長実感は大きなプロジェクトだけで生まれるものではありません。「この仕事を任せる」と役割を与え、「ここまでできるようになった」と成長を具体的に伝える日々の積み重ねが、自信につながります。
第三は、一方通行ではない面談を増やすことです。最近、多くの企業が1on1ミーティングを導入していますが、形式だけでは意味がありません。重要なのは、「最近、困っていることはないか」「今後、どのような仕事に挑戦したいか」と本人の考えを引き出すことです。若手社員の定着には、評価を伝えるだけでなく、本人の考えや希望を理解しようとする姿勢も重要です。
第四は、心理的安全性を高めることです。失敗を責めるのではなく、「次はどう改善しようか」と前向きに話し合える文化があれば、若手社員は安心して挑戦できます。心理的安全性とは、単に優しく接することではありません。意見を言いやすく、質問しやすく、失敗しても再挑戦できる環境をつくることです。
そして最後に重要なのが、上司自身のマネジメント力です。今回の調査では、「仕事の進め方が合う上司」の存在が、若手社員の定着と関係していることが示されました。したがって、若手社員一人ひとりの理解度や経験に応じて指導方法を変えられる管理職を育成することが、今後の人材確保の大きなカギになるでしょう。
人手不足が続く中、採用競争はさらに激しくなることが予想されます。しかし、本当に競争力を左右するのは採用力だけではありません。若手社員が「この会社なら成長できる」「ここで働き続けたい」と思える職場をつくれるかどうかです。
今回の調査は、今回の調査は、離職防止には給与や福利厚生だけでなく、「仕事への納得感」「成長実感」「心理的安全性」「上司との適切な関係性」も重要であることを示しています。若手社員は決して「すぐ辞める世代」ではありません。自分の能力を生かし、挑戦し、成長できる環境を求めている世代です。
企業に求められるのは、「辞めさせない仕組み」を考えることではなく、「ここで働き続けたい」と自然に思える職場をつくることです。その積み重ねこそが、人材不足時代を乗り越えるための重要な経営戦略になるのではないでしょうか。
文=KIJIKUL編集部
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